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涼をとる

< 7月・8月・9月 >

  • Vol. 2 涼をとる
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涼をとる

< 7月・8月・9月 >

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町で出会う着物姿に“薄物”を見かけるようになると、その粋な風情に憧れるともに、夏の訪れを感じます。絽(ろ)と紗(しゃ)の違いは織り方の違い。いずれも絹ですので保温性が高く、夏の始まりにぴったりです。盛夏には、麻の上布に目がいきます。なかなか手が出ない高級品ですが、いつかはきりりと着こなして、涼しい顔でお出かけしたいものです。

夏の暑さをうとましく思うより、楽しめるのが日本人の素晴らしさです。着物ひとつとっても、素材、織り方、合わせ方、そして柄で四季折々を楽しみました。暮らしの中でもさまざまな工夫があります。たとえばよしずや簾(すだれ)。カーテンやブラインドのようにしっかり遮るのではなく、空気を含んだ植物の繊維を窓辺に使うことで、風通しや適度な日よけをしてくれます。またそれらに霧を吹けば、熱が気化して温度を下げる効果もあります。寝ござも然り。フローリングのように密着せず、でこぼこのある表面と植物繊維に空気が入るので、熱を逃がします。汗をかいて湿っても、日に干せばあっという間に乾いて清潔。自然のものの使い勝手のよさには、頭が下がります。

風鈴、金魚、スイカに打ち水。五感で涼をとる夏は、心の豊かさを育んでくれるよう。みなさんもぜひ試してみてくださいね。

Profile

石田岬(いしだ みさき)
ハーバルセラピスト。雑誌、書籍のプロデューサー、エディターとして20年のキャリアをもつ。現在は日本の食文化、手仕事の継承などをテーマにフリーランスとして活躍中。ファミリーホメオパス。

Update / 2015.07


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