豊受ウェブマガジン

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洞爺農場 –夏–

米丸 輝久

  • Vol. 3 洞爺農場 –夏–
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洞爺農場 –夏–

米丸 輝久

3

6月、圃場にもようやく緑が溢れてきました。
虫や鳥、動物たちがそこここで忙しく動きまわるようになり、カッコウの声もようやく聞けるように―――。

春から初夏にかけて景色は目まぐるしく変わります。育苗中の苗はまだ小さくて頼りない感じですが、すでに立派なハーブ。触れると、ふわぁっと良い香りが立ち上ってきます。
その香りをかぐと懐かしい気分になり、あぁやっぱりいいなぁと思います。
間もなく夏至。冬の長い北海道は、春先は本州よりもだいたい1カ月から2カ月くらいは遅れているのですが、夏至にむけて一気に追いつこうとします。日照時間は北へ行くほど長くなり、新緑のこの時期、植え付けられた苗は今を逃すまじと必死に地中へ根を伸ばすのです。それは自生の植物も同じで、熾烈な生存競争となります。苗の成長を助けるため、圧迫する周りの雑草を取り、伸びすぎた枝葉を剪定。まだ小さいうちに花芽をつけてしまっているものには、まだ早いよと摘み取っていきます。そうしてあげると苗はますます力強く生き生きとしてきます。
これから旬を迎えたハーブからは辺り一面に芳香がただよい、得も言われぬ空間となり、心が弾みます。それを楽しみに忙しく動いています。

Update / 2015.07

Profile

米丸 輝久 (よねまる てるひさ)
日本豊受自然農の前身時代から参加している最古参メンバー。現在は北海道の洞爺湖のほとりにある農場で、主にハーブの栽培を行っている。縁あって、初めての雪国洞爺に移り住み、厳しい冬や野生動物との遭遇にカルチャーショックを受けたことも今や昔。何事にも動じないリーダーとしてメンバーからの信頼も厚い。


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